アメリカ崇拝は日本の自滅~日本が滅びる四つのシナリオ

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アメリカ外交の失敗(1992年~2024年)

1991年の末に冷戦が終結し、ソ連が崩壊したことにより、アメリカは唯一の超大国としての地位を確立しました。この冷戦後の時代において、アメリカは自らの影響力を強化しようとする一方で、その外交政策と軍事政策において多くの失敗を重ねました。以下にその詳細を説明します。

冷戦終了後、アメリカは他国の内政や外交に対する介入を増加させました。特に1992年以降、アメリカの軍事介入は冷戦時代に比べて4倍に増加しました。冷戦中(1947年~1991年)には、アメリカの軍事介入は約48回でしたが、冷戦後の32年間(1992年~2024年)には200回以上の軍事介入が行われました。この過剰な介入主義(ハイパーインターベンションニズム)は、アメリカの外交政策の失敗を象徴しています。

1992年2月にペンタゴンが作成した「ディフェンスプランニングガイダンス」は、冷戦後のアメリカの大戦略の基盤となりました。この文書は、アメリカが唯一の超大国として世界を軍事的、政治的、経済的、イデオロギー的に支配することを目指す覇権主義的な内容を含んでいました。特に、ロシア、中国、日本、ドイツを仮想敵国として取り上げ、これらの国々がアメリカに対抗する能力を持たないようにすることを目指していました。

この覇権主義的な政策の結果、アメリカは世界中で多くの軍事介入を行い、内政干渉を繰り返しました。例えば、クリントン政権時代のイラクに対する経済制裁と医療品制裁により、数十万人のイラク人、特に子供たちが死亡しました。このような制裁政策は、アメリカに対する強い反感を生み、テロリスト組織アルカイダによる9.11テロ攻撃の一因ともなりました。

さらに、アメリカはアフガニスタンやイラク、シリア、リビアなどでの軍事介入により、多くの人命を失い、これらの地域での政治的安定を損ないました。特に、アフガニスタンでの20年にわたる内戦介入や、イラク戦争における大量の民間人の犠牲は、アメリカの軍事行動の無計画さと無謀さを示しています。

このような過剰な介入の結果、アメリカは国際的な信頼を失い、世界中で多くの敵対勢力を生むこととなりました。特に中東地域では、アメリカの政策に対する反発が強まり、結果的にテロリズムの温床となりました。また、アメリカの経済制裁や軍事行動により、多くの国がアメリカの影響力から脱却しようとする動きを見せました。

一方で、アメリカ国内でも経済的な問題が深刻化しました。特に、国債の利子支払いが軍事予算を上回るようになり、財政赤字が拡大しました。このような状況下で、アメリカが高額な軍事予算を維持し続けることは困難になりつつあります。トランプ元大統領が軍事介入を控える姿勢を示したのも、このような背景からです。

結論として、1992年以降のアメリカの外交政策と軍事政策は、過剰な介入主義によって多くの失敗を招きました。これにより、アメリカは国際的な信頼を失い、多くの敵対勢力を生む結果となりました。また、経済的な問題も深刻化し、アメリカの影響力は冷戦終了直後に比べて大幅に低下しました。このような状況で、日本がアメリカに盲従することは、日本の外交・軍事政策において重大なリスクを伴うことを示しています。

日本の外交・軍事政策の無責任(戦後から現在まで)

伊藤貫氏は、日本の外交・軍事政策について、特に戦後から現在に至るまでの無責任さを厳しく批判しています。この無責任さは、日本がアメリカに依存し、自主的な防衛や外交政策を放棄してきたことに起因しています。以下に詳細を説明します。

1. 戦後の外交・軍事政策の始まり

戦後、日本が初めて外交・軍事政策に対する方針を明らかにしたのは、昭和22年(1947年)9月のことでした。当時の外務大臣であった芦田均がリーダーシップを取り、外務省が「芦田メモ」と呼ばれる基本方針を策定しました。このメモの内容は、日本がアメリカに永続的に占領されることを前提としており、軍事力を持たないことを基本とするものでした。つまり、日本はアメリカの属国として存在し続けることを選んだのです。この考えはアメリカの国防省や国務省に伝えられましたが、マッカーサーは必ずしも賛成していませんでした。

2. 天皇陛下の沖縄メッセージ

同じく昭和22年の9月に、天皇陛下はアメリカに対して、沖縄を長期間占領し続けてほしいというメッセージを送りました。日本が沖縄を守るのではなく、米軍が沖縄を軍事基地として利用することを望んでいたのです。このメッセージは、後の日本の外交・軍事政策にも大きな影響を与えました。

3. 沖縄返還と属国主義

1950年代になると、鳩山一郎や重光葵、石橋湛山といった政治家が米軍の沖縄撤退を求め始めましたが、昭和天皇は米軍が沖縄を占領し続けることを希望していました。このため、日本政府がアメリカに沖縄返還を要求することは阻止されました。1950年5月には、吉田茂首相が池田勇人を特使としてワシントンに送り、サンフランシスコ講和条約の際にも米軍の長期駐留を求める意向を伝えました。

4. 自主防衛の放棄

昭和22年から昭和25年にかけて、日本の指導者たちは真の独立を回復する意思がなく、アメリカの占領下に留まることを望んでいました。当時の駐日アメリカ大使ロバート・マーフィーやジョン・アリソンの報告によれば、日本の政治家たちは自主防衛の意思が全くなく、アメリカをなだめるために形だけの警察予備隊を設置したに過ぎませんでした。

5. 国民の屈服とエリートの無節操

マッカーサーは回想録の中で、戦後の日本人ほど徹底的に屈服した国民は歴史上他に例がないと述べています。また、吉田茂の秘書官であった白洲次郎は、占領下の日本のエリート層が売春婦よりも無節操であったと回想しています。このように、日本の指導者層はアメリカに対して徹底的に屈服し、属国としての地位を受け入れていたのです。

6. コラボレーショニズムの問題

ヘンリー・キッシンジャーは、占領軍に協力する態度を「コラボレーショニズム」と呼びました。この態度は短期的には経費の節約になるかもしれませんが、長期的には国の士気を失わせ、無気力にするものです。ドゴールは、自国を守る責任を果たさない国には独立国としての存在理由がないと指摘しています。

7. 日本の対米隷属性

オーストラリア国立大学のガバン・マコーマクは、日本がサンフランシスコ講和条約以降、実質的な外交・防衛政策を行うことを許されず、アメリカの信託統治領のような状態にあると述べています。日本の政府高官の多くは、日本の利益よりもアメリカの利益を優先し、アメリカに忠誠を誓っています。これは、日本が形式的には独立した主権国家であるものの、実際には隷属国の状態を選択してきたことを示しています。

8. 現在の状況

最近の岸田首相の訪米でも、日本はアメリカの属国としての姿勢を強調しています。岸田首相は、アメリカが求める武器を喜んで購入し、自衛隊の指揮権まで米軍の下に置く計画に協力しています。このような態度は、日本が自ら進んでアメリカに服従していることを象徴しています。

伊藤貫氏は、日本が戦後から現在に至るまで、外交・軍事政策において自主性を欠き、アメリカに依存し続けてきたことを批判しています。この無責任な政策は、日本の国際的な地位や安全保障に対して重大なリスクをもたらしています。

日米同盟の本質:ダブルコンテインメントとエントラップメント

伊藤貫氏は、日米同盟の本質を理解するために、特に「ダブルコンテインメント」と「エントラップメント」という概念を強調しています。これらの概念は、アメリカが日本をどのように位置付け、利用してきたかを理解する上で重要です。

1. ダブルコンテインメント(Double Containment)

「ダブルコンテインメント」とは、アメリカが日本を二重に封じ込める戦略を指します。この戦略は以下の二つの段階に分かれます。

  1. 日本の封じ込め(First Containment)
    • アメリカは、第二次世界大戦後の日本が再び軍事的脅威になることを防ぐために、日本を封じ込めることを決定しました。具体的には、日本が独自の軍事力を持つことを制限し、アメリカの軍事基地を日本国内に維持することで、日本をアメリカの監視下に置きました。
    • これにより、日本は再軍備や独自の防衛政策を実行する能力を奪われ、アメリカの軍事力に依存せざるを得ない状況に置かれました。この戦略は、1951年のサンフランシスコ講和条約とそれに続く日米安全保障条約で公式化されました。
  2. 日本の利用(Second Containment)
    • 封じ込められた日本を、アメリカの東アジア政策に利用することが第二の段階です。具体的には、日本をアメリカの軍事基地として利用し、ソ連や中国などの共産主義勢力を封じ込めるための前線基地としました。
    • 日本が経済的に成長し、安定した同盟国となることで、アメリカはアジアにおける自らの影響力を強化し、地域の安定を図ることができました。これは冷戦時代のアジア戦略の中核となり、現在に至るまで続いています。

2. エントラップメント(Entrapment)

「エントラップメント」とは、アメリカが日本を罠にはめるような形で、アメリカの政策に従属させることを指します。以下にその具体的な内容を示します。

  1. 日米同盟の非対等性
    • 日米同盟は名目上は対等なパートナーシップですが、実際にはアメリカの影響力が圧倒的に強く、日本はアメリカの指示に従わざるを得ない状況にあります。これにより、日本の外交・軍事政策はアメリカの利益に大きく依存しています。
    • 例えば、日本はアメリカから高額な武器を購入し、自衛隊の指揮権も米軍の下に置くことを余儀なくされています。このような関係は、日本が独自の防衛政策を実行することを困難にし、結果的にアメリカの戦略に従属する形となっています。
  2. アメリカの戦略的意図
    • アメリカは、日本を従属させることで、東アジアにおける自らの影響力を維持し、強化することを目指しています。これにより、アメリカは中国やロシアなどの地域大国に対抗するための軍事的および経済的な拠点を確保しています。
    • 日米同盟を通じて、日本はアメリカの軍事戦略の一部として組み込まれています。これは日本が独自の外交政策を展開する能力を制限し、アメリカの戦略的目標を優先する結果を招いています。

3. 実例と影響

  • ズビグネフ・ブレジンスキーの評価
    • ズビグネフ・ブレジンスキーは、日本の自衛隊をアメリカ軍の「延長道具」として見なしています。つまり、自衛隊は独立した軍隊ではなく、アメリカ軍の補助的な存在であるとされています。この評価は、日本の軍事政策がいかにアメリカに依存しているかを示しています。
  • インドの外務省高官の見解
    • 冷戦後、インドの外務省高官はアメリカとの同盟関係を避ける理由として、日本の例を挙げました。彼は、アメリカとの同盟関係に入ることで、インドが日本のように独立した外交・軍事政策を失い、従属国となることを懸念していました。これは、他国から見た日米同盟の実態を示しています。

結論

日米同盟は、表向きは対等なパートナーシップを謳っていますが、実際には日本をアメリカの戦略的意図に従属させるための仕組みとして機能しています。ダブルコンテインメントとエントラップメントは、この関係の本質を理解するための重要な概念です。日本が独自の外交・軍事政策を展開するためには、これらの制約を克服し、自主的な戦略を構築する必要があります。

戦術核の脅威

伊藤貫氏は、戦術核兵器の増産とその脅威について詳細に論じています。戦術核兵器は、戦略核兵器と比較して小型で限定的な地域や戦場で使用されることを想定されていますが、その破壊力と政治的影響は非常に大きいものです。

1. 戦術核兵器の増産と背景

戦術核兵器は、近年北朝鮮や中国をはじめとして世界中で増産されています。この増産の背景には、ウクライナ戦争の影響があります。2022年、ロシアがウクライナに対する軍事行動を開始した際、プーチン大統領はロシアが不利な状況に追い込まれた場合や、NATOが戦争に介入した場合には、核兵器を使用する可能性があると示唆しました。この発言を受け、アメリカのランド研究所はロシアが戦術核を使用するリスクを指摘しました。アメリカ政府内では、ロシアを過度に追い詰めると戦術核の使用を招く危険性があるとの認識が広まりました。

2. 戦術核の戦略的利用とその効果

戦術核兵器の存在は、戦略的な軍事バランスに大きな影響を与えます。戦術核は、その限定的な使用が想定されているため、通常兵器による戦争を核戦争にエスカレートさせるリスクがあります。プーチン大統領やロシアの高官たちは、戦術核の使用をちらつかせることで、NATOやアメリカがロシアを過度に追い詰めることを防ぐ戦略を取っています。

このような状況を受けて、中国や北朝鮮も戦術核兵器の有用性に気付きました。両国は、戦術核を保有することで、アメリカの通常戦力に対抗し得ると考えるようになりました。戦術核は、製造が比較的容易であり、数百発の戦術核を保有することは技術的にも可能です。これにより、中国や北朝鮮は、アメリカの軍事的優位性に対抗できる手段を得ることになります。

3. 戦術核がもたらす政治的影響とリスク

戦術核の存在は、国際政治において重大な影響を及ぼします。例えば、アメリカが北朝鮮や中国と武力衝突した場合、これらの国が戦術核を使用するリスクが高まります。アメリカは、核保有国同士の衝突を避けるために、慎重な対応を迫られます。

さらに、戦術核の脅威は、日本にとっても深刻です。北朝鮮や中国が数百発の戦術核を保有することで、アメリカはこれらの国と直接対決することを避ける可能性が高まります。この場合、アメリカは自国の利益を最優先し、日本の安全保障を後回しにする可能性があります。日本は核抑止力を持たないため、核保有国の間で行われる停戦交渉や戦略的決定において不利な立場に置かれることになります。

4. 日本の対応と課題

日本は、アメリカの核の傘の下で防衛を強化していますが、戦術核の脅威に対してどれほど有効かは疑問です。アメリカが日本を守るために戦術核を使用する可能性は低く、むしろアメリカは自国の被害を避けるために日本の頭越しに停戦交渉を進めることが予想されます。

このような状況に対応するためには、日本は防衛政策の見直しが必要です。具体的には、自主防衛能力の強化や、アメリカとの同盟関係の再評価が求められます。また、国民の間で戦術核の脅威に対する認識を高め、防衛に対する理解と協力を得ることも重要です。

結論

戦術核兵器の増産とその脅威は、日本の安全保障に対する深刻な課題です。北朝鮮や中国が戦術核を保有し、その使用を示唆することで、地域の緊張が高まっています。日本は、防衛政策の見直しと国民の理解を深めることで、これらの脅威に対処する必要があります。戦術核の存在は、単なる軍事的な問題にとどまらず、国際政治や地域の安全保障にも大きな影響を及ぼすため、慎重な対応が求められます。

日本が滅びる四つのシナリオ:総括

伊藤貫氏の議論から、日本が直面する四つの主要な脅威が明らかになります。これらのシナリオは、日本の外交・軍事政策の不備や外部の圧力によって引き起こされるものです。以下に、これらのシナリオを総括します。

1. アメリカ外交の失敗

冷戦終結後、アメリカの外交政策は頻繁な軍事介入と過剰な覇権主義に基づいていました。アメリカは他国の内政に介入し、戦争を引き起こすことで、世界中の反感を買いました。その結果、アメリカの国際的な影響力は低下し、東アジアや中東での支配力も減少しています。日本がアメリカの外交失敗に依存し続けることは、日本の安全保障を脅かす結果を招くでしょう。アメリカの影響力が低下する中で、日本は独自の外交戦略を持つ必要があります。

2. 日本の外交・軍事政策の無責任

戦後、日本はアメリカに依存する外交・軍事政策を採用し続けました。日本の指導者たちは、自国の防衛をアメリカに委ね、自主防衛の責任を回避してきました。これにより、日本はアメリカの属国のような立場に甘んじており、自主的な外交・軍事戦略を欠いています。日本が独立国としての真の独立を取り戻すためには、自主防衛能力の強化と独自の外交政策の確立が必要です。

3. 日米同盟の本質:ダブルコンテインメントとエントラップメント

日米同盟は、アメリカによる二重の封じ込めと罠にかける戦略に基づいています。アメリカは日本を従属させ、独自の軍事・外交政策を実行させないようにしてきました。この同盟の本質を理解し、アメリカの意向に盲従するのではなく、自国の利益を最優先に考える必要があります。日本は、アメリカの戦略に組み込まれるだけでなく、自らの戦略を持つべきです。

4. 戦術核の脅威

戦術核兵器の増産は、北朝鮮や中国による新たな脅威をもたらしています。これらの国が戦術核を保有することで、アメリカの通常戦力に対抗できるようになり、日本の安全保障はさらに脆弱になります。アメリカが自国の利益を優先し、日本の頭越しに停戦交渉を行う可能性も高まります。日本は、核抑止力の欠如を補うために、防衛政策の見直しと自主防衛能力の強化が必要です。

結論

日本が滅びる四つのシナリオは、アメリカ依存の外交・軍事政策、自主防衛能力の欠如、日米同盟の本質、そして戦術核の脅威に起因しています。これらのシナリオを回避するためには、日本は独自の外交・軍事戦略を持ち、自主防衛能力を強化する必要があります。日本の安全保障を確保するためには、アメリカに盲従するのではなく、独自の立場を確立し、自国の利益を最優先に考えることが求められます。

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