藤井厳喜 日米戦争を起こしたのは誰か ルーズベルトの罪状 1

藤井厳喜 日米戦争を起こしたのは誰か ルーズベルトの罪状 1

藤井厳喜

著者近影:ワールドフォーキャスト

藤井厳喜 ふじい げんき
昭和27年(1952)東京都江戸川区生まれ
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業
国際経済・軍事・政治など広い分野のアナリストであり近未来予測のプロフェッショナル。
1990年代の日本のバブル崩壊、アメリカの株価上昇、2008年9月以来の世界金融恐慌、2016年ドナルド・トランプの大統領当選などの大胆な予測を数多く的中させてきた。

裏切られた自由

今日の話はハーバート・フーバーさんと言う フランクリン・ルーズベルトの前の第31代のアメリカの大統領の話です。この人は 20冊ぐらい本を書いていたと思いますが 大統領を辞めた後に あるいは大統領になる前からも本を書いてる歴史家でしていろんな本を残した。そして 最後に大著を残したんですね。

Freedom Betrayed

それが、『Freedom Betrayed ― 裏切られた自由』という タイトルの本がありまして、これが原著でなんと 50年間近く出版されなかった。

これ何で出版されなかったかと言うのが一大事件。
何で出なかったかと言うと 本当のことが書いてあるから出なかったと ということですね。

知られちゃうとまずいということであります。しかし まぁ そういう本を出す時期になったんでしょうね。いろんな意味で ということで 2011年に彼が残したフーバー研究所で出版をされたと いうことであります。

我々の仲間の 稲村公望 さんがですね この本見つけて来て、

「大体我々の歴史観と同じだ。これをどうにかして世に出したい」

我々あっちこっちの 出版社なんかにお願いしてですね これ何とか翻訳本が出ないかと。

私どもも 原著を買って読んでみたら、確かにこれは翻訳に値するだろうと、これは面白い本でして ハーバート・フーバーの回顧録 兼 歴史研究書 というような体裁の本です。

回顧録ではないんですね。俺はああやったこうやったという話ではない。第二次大戦は何だったのか、並びに第二次大戦論ですが、同時に共産主義論でもある。

フーバーというのは大変な アンチコミュニスト。
コミュニズムというのはとにかく アメリカだけじゃなく世界を蝕む 大変な害悪だ。これと戦わなきゃいけないという大変使命感もあった方であります。今も フーバー研究所はそういう スタンスなんですけども

それで、その コミュニズムという害悪と いかに戦うか あるいは逆に言うと アメリカが ルーズベルト時代にいかに コミュニズムに侵略されていたのか ということを非常に事細かに書いてある本でもあります。

で、タイトルが フリーダム ビトレイドというのは フリーダムというのは まぁ アメリカ人が、そしてこの フーバーが最も大事だとしている価値ですね。

自由ということがいかに 裏切られてきたか。ということは いかに アメリカが共産主義に侵食されていたか。

そして ルーズベルト政権時代というのが いかに アメリカが本道から外れてひどい国家になっていたかと ということが この『裏切られた自由』というタイトルの中に非常によくその意味が込められているというわけであります。

彼が、1964年…ですから、東京 オリンピックの年ですね(昭和39)。東京 オリンピックの直後、確か 11月に死んでおるわけですけど、それで彼が最後に遺族に著書を残して、もう全部執筆は終わってて残して行ったんですが、これを世の中に出すと大変なことになっちゃうぞ。
いわゆる一般に言われている アメリカ人が信じてる第二次世界大戦論ということを真っ向から否定している。

おそらく遺族の人からこうすると フーバーの名前も非常に汚すことになるんじゃないかと 評判悪くなっちゃうんじゃないかと ということを恐れたんじゃないのかと思います。

今だに フランクリン・ルーズベルト神話というのは生きてるわけであります。
アメリカでも今日でもですね ルーズベルト史観と言いますか、といったものが主流であるということが残念ながら事実です。

要するに第二次世界大戦というのは ファシズム軍国主義と デモクラシーの戦いであったんだ と言って アメリカが チャンピオンで日本の軍国主義、ドイツのナチズム、イタリアの ファシズムをやっつけたのが全く正しい正義の戦いであったんだという歴史観が、今日も主流を占めている ということですね。

それに真っ向からこの フーバーが挑戦状を叩きつけている。全くそういうもんじゃない ということで第二次世界大戦というのは ある意味で戦う必要がなかった。

非常に アメリカにとっても悲惨な戦争であったのだと まぁ そういうことであります。

ですので、おそらく遺族の方たちがですね それを警戒されたのでしょう。
ということもあって世に出なかったのだと いうことだと思います 。

日米戦争を起こしたのは誰か

フーバーというのは単純率直な人で歯に衣着せず書いておりまして、ここまで率直に書いているのかと、『Freedom Betrayed ― 裏切られた自由』を読んで非常に驚きました。

この本『日米戦争を起こしたのは誰か』の始めの方に一番美味しいところと言いますか 日本人にとってぜひ読んで欲しいと思うあたりを書いておいたわけであります。

フーバーの本は第二次大戦論とか コミュニズム論、結局やっぱり第二次大戦はヨーロッパ が大きな戦いですから ヨーロッパの戦争に関する部分が長い。

日本に関する部分が決してメインではありません。しかし日本に関して日本人が知っておいた方が良いという部分を抜き出して論じたのはこの本ということになりますが、

1941年ですね、昭和16年 7月の アメリカが日本に対して経済制裁、日本ではよく ABCD 包囲網という言い方をしておりますが、当時はそういう言い方はなかったわけですけれども 特に アメリカが経済制裁をして石油を禁輸なんかやりました。

フーバーは、「これは日本に対する宣戦布告なき戦争であった。この時点で ルーズベルトは戦争開始してた」と言って良いんだ。ということを言っております。

それから、

「アメリカを戦争へ 誘導して行ったのは 他ならぬ ルーズベルト大統領その人であった。それは これまでに明らかにされた冷静な歴史の光に照らしながら 1938年(昭和 13)から 1941年(昭和 16)の期間を客観的に観察すれば おのずと明らかである」

そう はっきり言っています。
要するに ルーズベルトは日本を戦争に導いて行ったと。まぁ 日本はそれに乗せられてしまったと いうことです。

これはなぜかというとですね、当時の状況を考えますと アメリカはまだ参戦してない状況。 1939年 昭和14年 9月から ドイツが ポーランドに入ったところから第二次世界大戦が始まったと いうことになっておりますが、この後は日本も アメリカも戦争はしてないわけですね。

ところが ソ連が ドイツに責められて どんどん押し込まれてくる。イギリスも圧迫を受ける。それからもう一つ大事なことは蒋介石が支那大陸で日本軍にどんどん追いやられてしまう。それで重慶に篭って アメリカの物資補給に頼って何とか生きながらえている。

ですから イギリスの チャーチルも、中華民国の蒋介石、ソ連の スターリンもみんなが、とにかく早く アメリカに参戦してくれと言っていた。

アメリカという世界最大の工業国。この兵器庫が フルに回転して アメリカが兵隊を送ってくれなければ 我々各国撃破でやられちゃうよ。いう ところに来ていた。

みんな 3人ともルーズベルト政権に対して、とにかく 早く第二次世界大戦に参加してくれということを、一生懸命、一生懸命 働きかけてた ということです。そういう工作がなされていた。

もともと 3人とも ルーズベルトにとって近いわけです。ルーズベルトは ソ連が大好きですから スターリンのことは「アンクル ヨシフ」と呼んでいた訳ですからね。お仲間なんですね。スターリンが国内でどんなに残酷なことをやっても 関係ない訳です。

当時 で言うと ニューディールを計画経済 そういう社会主義への思考が強い ルーズベルトの経済政策と ソ連の経済との間に大きな差というものを ルーズベルトは見ていないわけです。そういう形の スターリンにも親しみを持っている。

江崎道朗 先生の記事『暴かれたコミンテルンの真実』で説明されている、ヴェノナ文書やコミンテルンについて 藤井厳喜 先生は言及していませんが、ルーズベルト大統領や蒋介石を裏で操っていたのが コミンテルンの スターリンだということを踏まえて 今回の記事を読んでいくと理解が深まるのではないかと思います。

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