菅元総理側近・落選後出馬 宮城県知事選、支援政党の動きに批判も
自民時代からの言説と参院落選、知事選出馬
元自民党参議院議員で、菅義偉元総理の側近とも目された 和田政宗氏は、埼玉県を中心とした在日クルド人問題をめぐる強い発言で長らく注目を集めてきた。特に「偽装難民」「強制送還」論を繰り返すことで、人権擁護側からは排外的言説との批判を受けてきた。
2025年7月の参議院選では比例代表で出馬したが、議席を得られず落選。支持基盤の揺らぎを示した側面もあった。だがその後、和田氏は宮城県知事選(告示:10月9日、投開票:26日)に出馬を表明し、政治の舞台に再び挑戦している。
知事選にあたって、和田氏は子育て支援・教育支援、給食費・不妊治療費の負担軽減、水道民営化見直し、移民受け入れ反対、土葬墓制などを主張。さらには、埼玉時代に争点となったクルド人問題での主張を、地方自治体政策と結びつけようとする動きも見られる。

「#ターニングポイント宮城」──参政党の応援戦略と動員
今回の知事選では、参政党 が和田氏を「応援」する意思を明確にしており、そのキャッチコピーが「#ターニングポイント宮城」である。 (Facebook)

参政党の代表 神谷宗幣氏 は、公の場で和田氏を支援する演説を行うために宮城県を少なくとも2回訪れており、その動きは選挙情勢に積極的に関与する姿勢を示すものと捉えられている。 (Facebook)
さらに、参政党所属で宮城1区の候補予定者であるローレンス綾子氏は和田氏の選挙対策副本部長に就任、現職国会議員である 梅村みずほ氏 も、10月18日には仙台市で和田氏とともに街頭応援演説を行う案内が、参政党宮城県連から出されている。 (Facebook)
このように、参政党は単なる“政策連携”を超え、知事選戦線にかなり深くコミットしている構図が浮かび上がる。



和田政宗氏とクルド人問題
■ クルド人問題の火種──埼玉で続く治安不安と住民の声
埼玉県川口市・蕨市周辺で暮らす在日クルド人コミュニティ(推定約2000人)をめぐり、無免許運転や暴行事件などの違法行為が相次いでいる。
地元住民の間では「夜中の騒音」「公園での乱闘」「不法就労」などへの不安が広がり、警察がパトロールを強化する事態となった。
背景には、トルコ国籍を持つトルコ系クルド人が多数を占める「偽装難民」問題がある。
入管当局によれば、出稼ぎ目的で来日し、難民申請が却下された後も滞在を続けるケースが常態化しているという。
■ 和田政宗氏、クルド支援から一転 強硬論へ“手のひら返し”
この問題の渦中にいるのが、元自民党参議院議員の和田政宗氏だ。
和田氏はかつて「日本クルド友好議員連盟」の幹事長を務め、2015年にはクルド系団体との交流を積極的に行っていた。
しかし、2023年頃から態度を急転換。
SNSで住民の不満が拡散する中、「不法滞在者は帰国すべき」「治安悪化の元凶」と強い言葉で批判する立場に変わった。
この変化に対し、ネット上では「選挙対策のパフォーマンス」「信念なき変節」との指摘が相次いだ。

※和田政宗氏のクルド人問題に関する文化人放送局の批判動画は現在再生できない状態。
■ 言論封殺か? ジャーナリストへの「訴訟攻勢」
転機となったのは、経済ジャーナリスト石井孝明氏による一連の報道だ。
石井氏はメディア「with ENERGY」などでクルド人問題を追及し、和田氏と一部クルド人団体の“近すぎる関係”を指摘。
これに対し、和田氏は2024年2月と4月に名誉毀損や脅迫などで刑事告訴・民事提訴を行い、総額1260万円の損害賠償を請求した。
石井氏は「和田氏の行為はスラップ訴訟(言論封殺訴訟)の典型」と反発。
東京地検は告訴を不起訴とし、石井氏は逆に和田氏を名誉毀損で反訴した。
SNSでは「#和田政宗落選運動」などのハッシュタグが拡散し、一般市民からも「訴訟で声を封じられる」との批判が噴出していた。
ジャーナリスト 石井孝明氏の批判
宮城県知事選を受けて、ジャーナリスト 石井孝明氏 は、和田氏および支援政党の動向に対して鋭い批判を展開している。石井氏は従来から、和田氏との間で名誉毀損・脅迫をめぐる訴訟対応を経験しており、刑事告訴が不起訴になった経緯を言論保護側の“勝利”と見なしてきた。
今回の知事選をめぐっては、石井氏は特に以下の点を問題視している:
- 言論封じ・スラップ訴訟的構図
 政治家が高額請求や訴訟提起を手段とし、批判を抑える圧力構造になっていないかという観点。過去の訴訟を踏まえ、和田氏の言動と訴訟戦略の整合性を疑問視する。
- 支援政党との関係性透明性
 参政党が「ターニングポイント宮城」を掲げ、神谷代表や梅村議員が宮城入りして支援演説を行う動きは、表面上の協力を超えてプロモーション戦略である可能性を指摘する。石井氏は、政策覚書や“非推薦”の立場と実際の応援体制とのギャップを問題にする。
- 主張と過去発言の整合性・説明責任
 和田氏の過去のクルド人問題発言・訴訟歴と、現行の知事選政策主張との差異を指摘し、有権者に対して説明責任を果たすべきだと主張。特に、強硬な入管・送還論が地方自治体の枠組みでどう運用可能かという問いを重ねる。
- 言論・報道環境への影響
 今回のような構図が、他の記者・報道者に対する“抑止効果”を及ぼす可能性を警戒。強権的訴訟戦略が、市民・ジャーナリストの発言意欲を削ぐリスクをはらむという主張だ。

総括:選挙戦の焦点と有権者の視点
和田政宗氏の宮城県知事選出馬は、単なる“地方転身”以上の意味を帯びている。過去の強硬言説、訴訟を含む摩擦歴、支援政党との連携深化──それらが一挙に問われる選挙戦である。
有権者の視点からは、以下の点が判断材料となるだろう:
- 発言内容と政策主張の整合性。特に移民・入管政策を地方行政に落とし込む際の実効性。
- 支援政党との関係性の透明性。覚書・推薦・演説支援の実態と、有権者への説明責任。
- 過去訴訟・言論紛争を含む政治運営スタンス。それが知事という公的立場にどう作用するか。
- 地域住民・少数者(在日クルド人など)との関係を含む実情取材に基づく政策評価。



 
	
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