核の傘の真実と日本の自衛戦略(後編)

核の傘の真実と日本の自衛戦略(後編)

核廃絶の議論は全く役に立たない理由

日本政府が1994年から毎年国連に提出している核廃絶を求める決議案についてです。岸田総理も核廃絶を外交の柱にしていますが、核廃絶の理想は全く成り立たない議論です。むしろ日本にとってマイナスになる議論です。こんな荒唐無稽な議論を日本の総理大臣や外務省が唱えることは、国際社会で非常に恥ずかしいことです。

核廃絶の理想がなぜ成り立たないかというと、各国が数百発の核弾頭を持つと戦争ができない状態になるからです。これをニュークリアピースと呼びます。核兵器が廃絶されると、通常戦力で戦争するしかなくなります。通常戦力による戦争には歯止めがなく、延々と軍備競争が続くでしょう。第一次世界大戦前や第二次世界大戦前の状態に戻り、国際政治は必ず不安定化します。

さらに、核兵器の廃絶は理論としても成り立ちません。現在、世界には核兵器用の物質(濃縮ウランやプルトニウム)が3000トン以上あります。これで約30万発の核兵器を作ることができます。どの国がどれだけの量の核兵器の材料を持っているかは、核不拡散条約によって抑えられていますが、アメリカやロシア、中国、イギリス、フランスなどの核保有国は査察を受け入れていません。これらの国々が核兵器の廃絶を拒否している限り、核廃絶は実現不可能です。

アメリカ政府は日本人に対して、核廃絶の理想主義を称賛しますが、実際にはそれを実行するつもりはありません。核兵器の廃絶が実現するのは、世界政府ができ、世界警察がどこの国にも査察を送れるようになった時です。しかし、アメリカ、ロシア、中国が対立している現在、世界政府ができる見込みはゼロです。

核廃絶の理想を訴える日本の総理大臣や外務省の官僚は、国際社会の笑いものになっています。核廃絶は実現不可能であり、核廃絶を訴えることは日本にとって非常に恥ずかしいことです。

例えば、グレゴリー・シュルトというブッシュ時代にIAEAの大使として働いた人は、IAEAには世界の核燃料の生産を調査する能力がないと述べています。核不拡散条約もリビアやシリア、イラン、パキスタンなどの国々が何をしているのかを把握できていません。ブラジルやエジプト、インドなどの大国も査察に協力するつもりは全くありません。

結局、核廃絶が実現するとしたら、それは世界政府ができた時です。世界政府ができて、どこの国にも査察官を送ってすべての場所を調べる権利を持つということがない限り、核の廃絶は絶対に実現しません。アメリカやロシア、中国が対立している現状では、世界政府ができる見込みは全くありません。

そのため、核廃絶の理想を訴える日本の総理大臣や外務省の官僚は、国際社会の笑いものになっています。核廃絶は実現不可能であり、核廃絶を訴えることは日本にとって非常に恥ずかしいことです。

米国が提供する核の傘は嘘

アメリカは日本から核抑止力を奪い、日本に対して核の傘があるから大丈夫だと言っています。しかし、これは100%嘘です。1950年代後半にハーバード大学の学長を務め、その後ケネディ政権とジョンソン政権で大統領安全保障補佐官を務めたマクジョージ・バンディが、この核の傘が嘘であることを示しています。彼は退任後、アメリカの核戦略がカウンターフォース理論に基づいていると述べました。カウンターフォース理論では、アメリカはソ連と核ミサイルの撃ち合いを行い、何千万人が死んでも勝利するとしています。しかし、実際にはたった一発の核弾頭がアメリカに向かうだけで、アメリカの政治家は全員逃げ出します。これが現実です。

バンディは20年後に出版した著書「Danger and Survival」の中でも、自国が生きるか死ぬかの状態に追い詰められない限り、どの国も核戦争を始めないと述べています。つまり、アメリカは日本が中国やロシアから核攻撃を受けても、それがアメリカの生存に直接関わらない限り、核兵器を使用しないのです。

同じことをケネディ政権とジョンソン政権で国防長官を務めたロバート・マクナマラも述べています。また、アイゼンハワー政権で国務長官を務めたクリスティアン・アーチボルド・ハーターも、アメリカ自身が核戦争に巻き込まれない限り、アメリカの大統領は核ミサイルの撃ち合いを行わないだろうと言っています。

次にニクソン政権とフォード政権で安全保障補佐官を務めたヘンリー・アルフレッド・キッシンジャーも、核の傘が存在しないことを認めています。彼は1979年に、「NATO The Next Thirty Years」という評論で、アメリカがヨーロッパを守るためにロシアと核戦争を行うのは相互自殺であり、そんなことをアメリカが行うわけがないと述べています。また、同年9月にブリュッセルで行われた国際会議でも、核の傘の保証は不可能だと発言しています。さらに、キッシンジャーは自身の回想録でも、アメリカが相互自殺を行うという脅しを他国に対して行うことはないと述べています。

1986年にはカーター政権でCIA長官を務めたスタンズフィールド・ターナーも、日本や欧州の防衛のためにソ連に対して核を使用することはありえないと明言しています。アメリカが他国と結んだいかなる軍事条約にも、核を使用するという条項は一つも含まれていないのです。

日本側の事情として、防衛省で局長を務め、その後防衛研究所の所長となった柳澤協二さんが興味深いことを述べています。彼は「アメリカが自国の核ミサイルを日本の防衛のために使うかどうか、日本自身は何も考えていない。核のことを考えないのは当然だという認識が官僚機構の中で共有されている」と述べています。日本の防衛省と外務省の高級官僚たちは、核の傘が存在しないことを全く無視して国防政策と外交政策を運営しています。

さらに、柳澤さんは「日本が核を持つという発想はない。仮に日本が核攻撃を受けた場合、アメリカがそれに対して核報復するかどうかは難しいだろう」という認識を示しています。日本の政治家や官僚は、核の傘の実態について全く議論していません。

また、自衛隊の幹部もアメリカの核の拡大抑止があるから大丈夫だと考えており、核戦略について真剣に勉強していない人が多いのです。ウクライナ戦争に関しても、自衛隊の一部の幹部はアメリカの意向に従う発言しかしません。

核の傘が存在しないにもかかわらず、日本の外務省や防衛省、自衛隊の幹部たちは無責任に対応しています。日本の保守派や体制派も、核の傘が存在しないことについて真剣に議論しようとしません。

アメリカの対日政策は、日本人だけには核抑止力を持たせないというものであり、これは非常に不正で不道徳な政策です。日本はアメリカに対して、正々堂々と反論し、不正で不道徳な対日政策をやめるよう求めるべきです。そうしなければ、日本は滅びるかもしれません。

日本は米国から買わされているミサイル防衛システムは機能しない

このミサイル防衛システムが役に立たないという点については、1964年にすでにアメリカ空軍のグレン・A・ケント大将がレポートで指摘しています。彼のレポートによれば、ミサイル防衛システムを構築しても、実際にはほとんど機能しないという結論に至っています。

具体的に言えば、他国から飛んでくる核ミサイルを撃ち落とすシステムを作るのは非常に困難であり、そのコストは核戦力を構築するのに比べて10倍から20倍も高くつくとされています。核ミサイルから自分たちを守るための防衛システムを作るよりも、自分たちが他国に対して核ミサイルを打ち込む方がはるかに簡単で安価であるというのが現実です。

さらに、アメリカの軍事学者であるキア・A・リーバーとダリル・G・プレスも、アメリカがミサイル防衛システムを作るのが無理だと知っていながら、その努力を続けている理由は、ある日突然中国やロシアに対して猛烈な先制核攻撃を行うためだと述べています。彼らは「ニュークリアプライマシー」を追求しており、先制攻撃で相手の核ミサイルを破壊し、残ったわずかなミサイルをミサイル防衛システムで撃ち落とすという戦略を取っています。

ロバート・ペイプというシカゴ大学の軍事学者も、アメリカのミサイル防衛システムは防衛のためではなく、世界中を支配するための核戦力を持ちたいという欲望を実現するための政策だと指摘しています。カリフォルニアバークレー校とコロンビア大学のケニス・ウォルツは、ミサイル防衛システムは無駄なシステムであり、核兵器は小さくて軽く、どこにでも隠すことができるため、防御するのは非常に困難だと述べています。

例えば、核兵器を低い高度を飛ぶクルーズミサイルに搭載したり、小さなボートに積んで攻撃したりすることができます。こうした手段によって、核攻撃を防ぐことは非常に難しいのです。ニクソン大統領もミサイル防衛システムを「第二次世界大戦中のフランスのマジノライン」と同じだと言い、意味がないとしています。クリントン政権時代のウィリアム・J・ペリー国防長官も同様に、ミサイル防衛システムは無駄だと述べています。

さらに、アメリカ政府内にも正直な人々がいます。クリントン政権時代のペンタゴンの兵器運用試験評価局長であったフィリップ・コイル、ブッシュ政権時代のトーマス・クリスティー、オバマ政権時代のデイビッド・デューマーは全員、ミサイル防衛システムのテストは全く話にならないと述べています。彼らは、飛んでくるミサイルがどこから飛んでくるか、どの軌道を飛ぶかを最初から教えられた上で、遅いスピードで飛ばし、レーダーやビーコンでシグナルを発して撃ち落とすという条件のもとでテストを行っているため、その結果には意味がないと指摘しています。

フィリップ・コイルは、ミサイル防衛システムを「カカシ」と同じだと述べており、ロバート・ガード前アメリカ空軍中将も、ミサイル防衛システムは単なるPRに過ぎないと述べています。最近のニューヨークタイムズの記事でも、アメリカのミサイル防衛システムは巨額の金を注ぎ込んできたにもかかわらず、実際には機能しないとされています。イランや北朝鮮から一発だけ飛んできた場合には撃ち落とせるかもしれませんが、複数の弾頭や囮弾頭が同時に飛んできた場合には全く手が出ないのです。

さらに、巡航ミサイルや極超音速ミサイルは、現在のミサイル防衛システムでは防ぐことができません。ロシアや中国、北朝鮮でさえ極超音速ミサイルを開発しているとされています。したがって、日本が買わされているミサイル防衛システムは全く役に立たないものです。

ミサイル防衛システムの購入を決定した当時、防衛庁長官を務めていた石破茂氏は、アメリカのミサイル防衛システムで飛んでくる弾道ミサイルを迎撃するテストが9割以上成功していると述べていました。しかし、実際にはミサイル防衛システムはカウンターフォース戦略の一部であり、防御的なシステムではなく、アメリカが先制核攻撃を行うための武器なのです。

アメリカがミサイル防衛システムを整備することで、中国やロシアは核兵器の増産を強化しています。石破氏が述べた「ミサイル防衛システムを整備することが最終的には核廃絶につながる」という発言は現実を無視したものであり、中国やロシアは逆に核兵器の増産を進めています。

日本が必要とするミニマムディテランスとしての戦略核は200発、戦術核は600発とするべきです。戦術核は破壊力が小さく、コストも低く、戦争を抑止する効果があります。ウクライナ戦争の例からも、戦術核を持つことで他国を抑止する効果があることがわかります。日本は戦略核と戦術核を保有し、必要最小限の抑止力を持つべきです。

アメリカの対日政策は、日本に核兵器の所有を認めないというものですが、これは戦略的にも道徳的にも間違っています。日本はアメリカに対して正々堂々と反論し、不正で不道徳な対日政策をやめるよう求めるべきです。そうしなければ、日本は滅びる危険性があります。

米国が日本に核を持たせない理由

アメリカは日本に核を持たせない理由として、主に二つの側面があります。ひとつは戦略的な理由、もうひとつは道徳的な理由です。

まず、戦略的な理由について説明します。アメリカは、日本とドイツを仮想敵国視しています。核不拡散条約(NPT)が制定された1960年代以降、アメリカのターゲットは一貫してドイツと日本でした。アメリカ政府は、これら二つの国を独立した核保有国にさせたくないと強く考えています。なぜなら、日本とドイツが自主的な核抑止力を持つことにより、アメリカの戦略的影響力が大きく損なわれるからです。

具体的には、アメリカ政府は日本とドイツに対して、核の傘を提供することで、両国を自らの影響下に置き続けようとしています。アメリカは核の傘があるから大丈夫だと日本を安心させ、その裏で核抑止力の開発や保有を阻止しています。実際、アメリカ政府は、核の傘が日本を守るという主張を続ける一方で、日本が自主的な核抑止力を持つことを強く反対しています。

さらに、アメリカは日本に対して高価な通常戦力やミサイル防衛システムを押し付けることで、経済的にも依存させています。これにより、日本が自主的な軍事力を持つ余裕をなくし、結果的にアメリカの軍事産業に多額の利益をもたらしています。

次に、道徳的な理由についてです。アメリカ政府は、日本が二度にわたって核攻撃を受けた唯一の国であるという事実を利用しています。これを理由に、日本が再び核兵器を持つことを拒否する道義的な立場を取っています。アメリカは、日本が核兵器を持つことが過去の被害を踏まえて不道徳であると主張し続けています。しかし、これはアメリカの対日政策の一環であり、実際には日本の防衛力を弱体化させるための方便に過ぎません。

このようなアメリカの対日政策の背景には、日本が再び強大な軍事力を持つことで、アジアにおけるパワーバランスが崩れ、アメリカの戦略的利益が損なわれるという懸念があります。特に中国やロシアとの対立が深まる中で、日本が独自の核抑止力を持つことは、アメリカにとって非常に都合が悪いのです。

アメリカの核政策は、日本だけでなくドイツにも同様に適用されており、両国が核兵器を保有しないように様々な手段を講じています。この政策は、アメリカが世界の核保有国としての優位性を維持し続けるためのものであり、同時に、他国に対する軍事的影響力を保つための重要な手段でもあります。

日本としては、アメリカのこうした戦略的かつ道徳的な圧力に対抗し、自主的な核抑止力を持つべきです。核を持たないことで、日本はアメリカの言いなりになるしかなく、自国の防衛に関する主権を放棄することになります。アメリカの核の傘に頼るのではなく、自国の防衛力を強化し、独立した国家としての地位を確立することが求められます。

このように、アメリカが日本に核を持たせない理由は、戦略的な影響力を維持するためのものであり、日本の安全保障を本当に考慮したものではありません。日本が自主的な防衛力を持つことは、国際社会における地位を向上させ、アジア地域における平和と安定を確保するためにも重要です。

日本が核武装した中立主義国になるべき理由

日本が核武装した中立主義国になるべき理由について説明します。現在の日本は、アメリカの「核の傘」に依存し、自主防衛の力を持たないまま過ごしています。この状況は日本にとって非常に不利であり、国際社会における地位を低下させる要因となっています。以下に、日本が核武装した中立主義国になるべき理由を詳述します。

まず、核武装による自主防衛力の強化です。日本が自主的な核抑止力を持つことで、他国からの軍事的脅威に対して独自に対応できる力を持つことができます。現在、日本はアメリカの核抑止力に依存していますが、アメリカが実際に日本のために核を使用する保証はなく、この依存関係は非常に脆弱です。自国の防衛力を強化することで、日本は独立した国家としての地位を確立し、他国からの恫喝や攻撃に対して効果的に抑止することが可能になります。

次に、核武装による外交的な独立性の確保です。現在の日本は、アメリカの政策に従わざるを得ない状況にあります。これはアメリカの軍事的介入や戦略に賛同しなければならないことを意味し、国際社会での日本の立場を制約しています。核武装した中立主義国となることで、日本はアメリカの影響から脱却し、独自の外交政策を展開することができるようになります。これにより、日本は他国との関係をより対等に築くことができ、国際社会における発言力を強化することができます。

さらに、核武装による抑止効果の向上です。核兵器を保有することで、他国は日本に対して軍事的な行動を起こすことに対して慎重になるでしょう。核武装は、戦争の発生を防ぐための強力な抑止力として機能します。特に、周辺国である中国や北朝鮮が核兵器を保有している現状において、日本が核抑止力を持つことは、地域の安定を確保するためにも重要です。

また、日本が中立主義を採用することによる国際的な信頼の向上です。中立主義を掲げることで、日本は他国に対して軍事的な脅威を与えることなく、自国の防衛を確保することができます。これは国際社会において日本の平和的な姿勢を示すこととなり、他国からの信頼を得ることにつながります。中立主義国としての立場を確立することで、日本は国際的な紛争に巻き込まれるリスクを減少させ、平和的な国際関係を維持することができるでしょう。

最後に、日本が核武装した中立主義国になることは、国内の安全保障意識を高めることにも寄与します。現在の日本は、他国の軍事的脅威に対して十分な対応策を持たず、自国の安全保障に関する議論も十分に行われていません。核武装を選択することで、日本国内において安全保障に関する意識が高まり、国民全体が自国の防衛について真剣に考えるきっかけとなるでしょう。

これらの理由から、日本が核武装した中立主義国になることは、国際社会における日本の地位を向上させ、国内外の安全保障を強化するために不可欠なステップです。日本はアメリカの影響から脱却し、自主的な防衛力を持つことで、真の独立国家としての地位を確立するべきです。