アメリカ崇拝は日本の自滅への道 – 超富豪オリガーキーに支配される米国の現実

アメリカ崇拝は日本の自滅への道 – 超富豪オリガーキーに支配される米国の現実

アメリカ政治と経済の現状

アメリカ合衆国は形式的には民主主義国家とされていますが、実質的には超富豪のオリガーキー(寡頭制)によって支配されていると指摘されています。特に、トップ0.01%の超富裕層が巨額の富と政治権力を集中させ、政策決定に大きな影響を与えています。この状況は、近年のアメリカ政治と経済の特徴的な問題点として注目されています。

貧富の差の拡大

過去40年間、アメリカでは貧富の差が劇的に拡大しました。少なくとも6割のアメリカ国民の実質所得と生活水準が低下しているとされています。これは、経済学者やフェデラルリザーブ(アメリカ中央銀行)の報告からも確認されています。特に注目すべきは、トップ1%の富裕層、さらにその中でも0.1%および0.01%の超富裕層が圧倒的な富を蓄えていることです。

このような富の集中は、富裕層が税制の抜け道を利用していることに起因します。彼らは自社株の買い戻しなどを利用して株価を上昇させ、巨額の富を増やしていますが、現金収入として受け取らないため、所得税をほとんど支払わないのです。例えば、Amazonのジェフ・ベゾスや Xのイーロン・マスク、投資家のウォーレン・バフェット、乗っ取り王として有名なカール・アイカン、そして、金持ちのくせにラディカルな左翼にお金をばら撒いて社会にいろいろ問題を引き起こしているジョージ・ソロスなどは、その象徴的な例です。彼らの実質的な課税率は非常に低く、0.1%から0.9%程度とされています。

一方で、ミドルクラスのアメリカ人は年収の20%から30%を税金として支払っています。これは、年収500万円から1000万円の人々が実質的に多くの税負担を負っている一方で、超富裕層はほとんど課税されないという不公平な税制が存在していることを示しています。

クリントン政権以前と以降のアメリカ経済政策

クリントン政権以前のアメリカ経済政策

1947年から1974年までの約30年間、アメリカの経済は比較的公平な成長を遂げました。この期間において、アメリカの労働生産性は約90%上昇し、ミドルクラスおよびワーキングクラスの個人所得も同様に約90%上昇しました。これは、労働生産性の向上が労働者の実質所得の増加に直結していたことを示しています。このような状況は、公正な社会として機能していたアメリカの姿を象徴しています。

この時期のアメリカ企業は、株主の利益だけでなく、従業員や企業自体の発展のためにも存在していました。企業が利益を上げると、その半分は株主に配当や自社株の買い戻しとして還元され、残りの半分は研究開発費や設備投資、従業員の賃上げに充てられました。つまり、企業利益の50%は株主、残りの50%は従業員と企業の発展のために使われたのです。この結果、アメリカ国民の生活水準は毎年上昇し、公正な社会が維持されました。

クリントン政権以降のアメリカ経済政策

1978年以降、特に1990年代のクリントン政権以降、アメリカの経済政策は大きく変化しました。この時期の労働生産性は80%以上上昇しましたが、国民の平均的な実質所得の上昇率は4%から5%にとどまりました。労働生産性の向上が実質所得の増加に結びつかなくなり、非常に不公正なシステムが形成されました。

この変化の背景には、クリントン政権の経済政策があります。クリントン政権は、民主党として庶民の味方を装いながら、実際にはウォールストリートの金融業者に利益をもたらす政策を推進しました。ゴールドマンサックスの会長であったロバート・ルービンを国家経済会議の議長および財務長官に任命し、彼の後任にはハーバード大学の教授であるローレンス・サマーズが就任しました。サマーズはヘッジファンドの経営にも参加しており、大学教授でありながら毎年数十億円の収入を得ていました。これらの人物は、意図的にトップ1%もしくはトップ0.1%の富と所得を集中させる政策を推進しました。

クリントン政権の政策により、企業は株主の利益を最優先するようになりました。企業が利益を上げた場合、その90%以上が株の買い戻しや配当として株主に還元され、従業員の賃金は抑えられました。これにより、従業員がどれほど一生懸命働いても、企業利益のうち従業員の賃上げに回される割合はごくわずか、2%から3%程度にとどまりました。結果として、実質賃金の停滞が生じ、労働者の生活水準は向上しませんでした。

さらに、クリントン政権は中国を自由主義諸国と同様に扱う政策を推進し、アメリカ企業は生産設備やサービス業の活動拠点を中国に移しました。これにより、アメリカ国内の投資が減少し、労働組合の立場が弱まりました。レーガン政権時代にはアメリカの労働者の22%が労働組合に加入していましたが、現在ではその割合は10%にまで減少しました。労働組合の力が弱まることで、労働者の賃金交渉力も低下し、賃金が抑えられる結果となりました。

オバマ政権の影響

2010年代のオバマ政権時代には、S&P500に属するアメリカを代表する500の企業が毎年得る純利益の100%が自社株の買い戻しや配当に使われました。つまり、企業の設備投資や従業員の賃上げに回される分はゼロに等しかったのです。これにより、労働者の実質賃金は停滞し、生活水準の向上は見込めませんでした。

民主党は庶民の味方を装いつつ、実際にはウォールストリートの金融業者やヘッジファンドから巨額の政治資金を受け取っていました。これにより、民主党はウォールストリートのトップ0.1%や0.01%の富裕層に対して有利な政策を推進しました。共和党に流れる政治資金は少なく、トランプ政権に対してはほとんどの金融業者やヘッジファンドが資金提供を拒否しました。このような状況により、アメリカの政治は富裕層の影響を強く受けるようになりました。

政治とロビー活動

アメリカの政治は、ロビー活動によって大きく影響を受けています。政治家たちは、富裕層や企業からの政治資金を受け取り、彼らの利益に沿った政策を推進する傾向があります。このようなロビー活動は、政治家が引退後にロビーストとして高額の報酬を得ることを期待して行われることが多く、議会の決定に深刻な影響を与えています。

例えば、1973年には、下院議員や上院議員のうちロビーストになる割合はわずか3%でした。しかし、現在では、下院議員の4割から5割、上院議員の5割から6割が議員引退後にロビーストになるとされています。これにより、政治家たちは現役時代から特定の企業や団体の利益を優先するようになります。さらに、ロビースト活動により、議会の法案や予算案に特定の利益を反映させることが容易になり、富裕層や特定の業界の利益が優先される結果となります。

アメリカの税制

アメリカの税法は非常に複雑で、8万ページに及ぶとされています。この膨大な税法の中には、特定の状況下で税金を回避できる規定が数多く含まれています。特に、超富裕層や大企業は、高度な会計技術や法律の専門知識を活用し、税金を最小限に抑える手法を駆使しています。これにより、彼らは莫大な富を蓄積し続ける一方で、実質的な税負担は極めて低い状態を維持しています。

また、アメリカの政治資金規正法は表面的には存在しますが、実際には多くの抜け道が存在し、政治資金の大部分は規制の適用を受けないままです。例えば、スーパーパック(Super PAC)と呼ばれる政治活動委員会は、無制限に資金を受け取ることができ、その資金提供者を公開する義務もありません。これにより、超富裕層や企業は巨額の資金を政治家に提供し、政策決定に影響を与え続けています。

アメリカの民主主義の実態

このような状況は、アメリカの民主主義が実質的には機能していないことを示唆しています。表面的には民主主義の形をとっていますが、実際には一握りの特権階級が富と権力を握り、政策を決定しています。このような状態は、オリガーキー(寡頭制)と呼ばれ、政治学者や経済学者はこれを「リーガライズド ブライバリー(合法化された賄賂)」と表現することがあります。

実際、近年のアメリカの選挙では、億万長者が個人的な財産を使って選挙活動を行い、自らの利益を優先する政治家を支援するケースが増えています。例えば、2016年と2020年の大統領選挙では、ジョージ・ソロスやマイケル・ブルームバーグなどが巨額の資金を投入し、自らの政策を支持する候補者を支援しました。

日本への警告

伊藤貫氏は、アメリカの不道徳な経済政策とその結果として生じた貧富の差についての警告を発しています。彼は、アメリカの政策が民主主義を標榜しながらも、実際にはごく一部の富裕層、特に0.01%の超富裕層が支配するオリガーキー(寡頭制)の状態になっていると指摘しています。

アメリカにおけるオリガーキーの実態

アメリカの政治と経済を実質的に支配しているのは、0.01%の超富裕層です。これらの人々は、マスコミ、シンクタンク、そして政治資金ネットワークの大部分を掌握しており、金融業界も支配しています。この結果、富裕層はますます富み、彼らの影響力はアメリカの戦争政策や外交政策にまで及んでいます。

貧富の差と戦争政策の関係

アメリカの貧富の差の拡大は、戦争政策にも影響を与えています。例えば、第一次ブッシュ政権時代に発生した湾岸戦争では、ブッシュ大統領はクウェートからイラク軍を追い出した後、イラクを占領しようとはしませんでした。しかし、その後のクリントン政権では、イスラエルロビーやネオコンの影響力が強まり、イラク、シリア、イランを叩き潰すべきだという方針が採られました。この政策は、イスラエル首相ネタニヤフも支持しており、結果としてイラクに対する苛烈な経済制裁が行われ、150万人ものイラク人が死亡しました。

ネオコンとイスラエルロビーの影響

クリントン政権時代には、ネオコンやイスラエルロビーの強硬派が政策決定に大きな影響を与えました。ネオコンとは、新保守主義者を指し、アメリカの軍事力を積極的に行使することを主張するグループです。これらのネオコン連中に大量の資金を提供しているのがウォールストリートの金融業者です。彼らはクリントン政権に対し、アメリカはイラン、イラク、シリアを叩き潰すべきだと強く主張しました。これにより、クリントン政権はイラクレジームチェンジレゾリューションという決議を通し、イラクに対する苛烈な経済制裁と医療品制裁を実施し、五歳以下のイラクの子供62万人を含む150万人が死亡する結果となりました。

イラク戦争とブッシュ政権

2001年の9月11日に発生した同時多発テロ事件の直後、ブッシュ政権はアフガニスタンのアルカイダを攻撃するだけでなく、イラクに対しても戦争を仕掛ける決定を下しました。この決定の背後には、ネオコンやイスラエルロビー、そしてトップ0.01%のオリガーキー勢力の影響があります。ブッシュ政権の副大統領であったチェーニーも、これらのオリガーキーから大量の政治資金を受け取っており、彼らの指示に従わざるを得ない状況でした。2003年のイラク戦争は、何の正当性もない戦争であり、このような戦争が起きた背景にはアメリカの政治腐敗が深く関与しています。

政治資金規正法の問題

アメリカの政治資金規正法は、表面的には存在していますが、その適用範囲は非常に限定的です。例えば、2020年の大統領選挙では、約2兆円もの政治資金が使用されましたが、そのうち95%は規制対象外の資金でした。このような状況では、政治家が富裕層から無制限に資金を受け取ることが可能であり、その結果、政治腐敗が進行しています。

スーパーパックと501Cの利用

アメリカの政治家は、ポリティカルアクションコミュニティ(PAC)やスーパーパックを利用して、巨額の政治資金を受け取っています。スーパーパックは、通常のPACと異なり、寄付額に制限がなく、匿名で巨額の寄付を受け取ることが可能です。また、501Cという税法のカテゴリーを利用することで、社会福祉や環境保護などを名目に、匿名で巨額の寄付を受け取ることができます。これにより、富裕層は合法的に政治家を買収し、政策を自分たちの利益に合わせて変更することができます。

ザッカーバーグの郵便投票操作

具体的な例として、フェイスブックの創設者であるマーク・ザッカーバーグが行った郵便投票の操作があります。彼は、2020年の大統領選挙において、郵便投票を促進するために700億円を投入しました。この資金は、主に民主党の活動家にばらまかれ、彼らが郵便投票を集めるために使われました。郵便投票の署名や身分証明書の真偽をチェックすることなく、バイデン支持の票を集めるために利用されたのです。これにより、ザッカーバーグはアメリカの大統領選挙に巨大な影響力を行使しました。

貧富の差がもたらす政治腐敗

アメリカのように極端な貧富の差が存在すると、政治は必ず腐敗します。超富裕層が政治家に対して巨額の資金を提供し、その見返りに自分たちの利益に合致する政策を要求します。このような状況では、政治家は富裕層の意向に従うことが避けられず、結果として民主主義は形骸化し、オリガーキーが支配する社会が形成されます。

日本への警告

伊藤貫氏は、このようなアメリカの状況を日本が模倣することの危険性を強調しています。アメリカの経済政策を真似ることで、日本でも貧富の差が拡大し、中間層や労働者階級の生活水準が低下する可能性があります。その結果、日本の社会も不安定化し、政治腐敗が進行するリスクが高まります。

アメリカ経済政策の影響

アメリカの経済政策を盲目的に模倣することは、日本の経済と社会に深刻な影響を及ぼします。特に、以下の点が挙げられます。

  1. 経済的従属:日本がアメリカの経済政策を模倣することで、経済的な独立性を失い、アメリカの影響力に従属するリスクが高まります。
  2. 社会的不安定:貧富の差が拡大すると、日本社会も不安定化し、中間層や労働者階級の実質所得が低下することで、社会的な不満や対立が増大します。
  3. 政治的腐敗:アメリカのように、富裕層が政治に強い影響力を持つようになると、日本でも政治的な腐敗が進み、民主主義の健全性が損なわれる可能性があります。

結論

伊藤貫氏はアメリカの経済政策とその結果として生じた極端な貧富の差、オリガーキー支配、政治腐敗の現状を詳細に分析し、日本に対して同様の道を辿る危険性を強く警告しています。アメリカでは、0.01%の超富裕層が政治と経済を支配し、その影響力が戦争政策や外交政策にまで及んでいます。特にネオコンやイスラエルロビーがイラク戦争などの重大な決定に関与し、その背景には莫大な政治資金が絡んでいることが強調されています。

また、2020年のアメリカ大統領選挙におけるザッカーバーグの郵便投票操作の例が示すように、富裕層の影響力が選挙結果にも影響を及ぼす危険性があると指摘されています。このような状況は、民主主義の健全性を損ない、社会的不安定を引き起こす可能性があります。

伊藤氏は、日本がアメリカの経済政策を盲目的に模倣することの危険性を強調し、日本が自主的な経済政策を推進し、自国の経済状況や社会構造に適した政策を策定する必要性を訴えています。日本はアメリカの失敗から学び、独自の経済戦略を構築することで、持続可能で安定した社会を実現することが求められます。